セカンドトリップ。
Fri,January 23,17:40
金曜日、茅場町にあるTトラベルの東京オフィスは慌ただしさを見せていた。
週末、ましてや月末近くの夕方は戦場である。
僕も例外なく忙しく「手配」をしていた。
昼飯のジンギスカンは味の羊ヶ丘?、ラーメンは彩未?駅弁は遠軽で積み込みOK
宿は結局何処にしよう。
あー。網走17時到着だとオーロラ(流氷観測船)には乗れないなぁ。。
他でもない。この仕事を引き受けたのは旅ができるというインセンティブがあるからだ。
エセエージェンシー、赤星トラベルである。
Sat,January 24,10:00
NH59便は定刻で新千歳空港へと飛び立った。
新千歳到着後足早に"快速エアポート”に乗り札幌駅前のホテル”センチュリーロイヤル”にチェックインした。
この日は営業の仕事が入っていたため、現場に向かうが、頭の中は既に明日になっている。
除雪され、路肩に積み上げられた雪、発熱させないと雪で埋もれてしまうのか、いまだにLEDではなく電球がはまっている信号機
ススキノのネオンに大通公園ー
こんな日常なサッポロが大好きだ。
22:30
市内のホテルで仕事を終え、カメラ片手にホテルまでの道のりを歩く。
ズッコケた。
その後も2回ズッコケた。
その筈、重たいアタッシュを片手に持ち、もう片手は買ったばかりのミラーレス一眼を優しく保護する手。
完全に重心はずれている。
靴はちょっとオシャレしたスリッポン。
ダンスフロアで踊れるソールだから雪国ではスケートと変わりないことは馬鹿でもわかる。
計5回ズッコケてホテルに戻る。
膝は真っ青だがパウダースノーのおかげでスラックスは破けていない。
結果オーライとしよう。
ホテルの窓からJRタワーと札幌駅が見えた。
明日の1番列車で旅に出られるんだ!
日報を書き終え、風呂に入り
切符と目覚ましを枕元に置き、床に就いた。
時間は夜の12時を回っていた
Sun,January 25,7:02
気温-4℃の札幌駅。
釧路行きの始発”スーパーおおぞら1号”に乗り込んだ。
今回の旅の目的は”自然に触れること”
レンタカーで旅ができるほど時間の余裕はないが北海道の冬らしい景色を楽しみにしていた。
どこまでも続く銀世界、地平線から顔を出した太陽
そびえる木々ー、地面の雪を巻き上げながら疾走する特急列車ー
その光景からは想像できないほどポカポカとした車内は眠気を誘い、仕事の疲れをしばし癒した。
キラキラとした光に目が覚めると列車は既に白糠を通過し終着釧路駅の手前、釧路港のあたりを走行していた。
11:20
国鉄時代のものだろうか、レトロな制服を身にまとった駅員さんがホームでカランカランと金を鳴らしながら「発車しますよー!!」
と雪がこびり付いたホームを走り乗客に知らせている。
全国でレトロな列車やSLは走っているが、SLにストーブがついた客車を引っ張る列車はおそらくここだけだろう。
国の天然記念物の”タンチョウ”などが生息する釧路湿原を走る「冬の湿原号」という列車だ。
快晴の道東路、標茶、摩周と湿原の真ん中を走る汽車。
エゾシカ、キタキツネ、タンチョウやその足跡が車窓に姿を現わす度に乗客からは歓声が上がっていた。
車内の石炭ストーブでは乗客が持ち寄った魚やイカの干物を焼く香ばしい香りがたまらない。
こんな素敵なローカル線、ずっと残ってほしいー
川湯温泉でSLを下車し、今日の宿がある網走まで鈍行の汽車に乗った。
北海道の夕暮れは早い。
オホーツク海と平行に走る浜小清水駅に着いた頃は既に周りは薄暗かった。
網走に向けてほぼまっすぐの線路を走る汽車、
ー流氷、見えるかなぁ。
汽車に乗っていたほとんどが観光客。
みな同じ思いだろう。
にわかに歓声が上がったー
瞬雪の積もった草原と勘違いするほどびっしりと陸まで接岸した流氷。
黄昏時の茜色と藍色の空の色が余計にそれを幻想的に魅せる。
何十分だろうか、藻琴駅を過ぎるまでずっと車窓にくぎ付けだった。
17:14
塗色が見えなくなるほどに大量の雪が着雪した汽車は網走駅にゆっくりと到着した。
「あーそー、着いたの?じゃあ迎えに行くけん待合の奥の方で待っといて」
今日宿泊する宿の主人に電話すると迎えに来てくれるとの事
ホームページには徒歩7分(ショートカット)と書いてあったが主人が駅まで来てくれたのは25分後だった。
「背広なんぞ着て寒かろう」
長靴を履いた主人は踏み固められた雪の絨毯の上をさっさと歩いていく。
滑りながら僕も追いかかる。
主人に気づかれないように一度転んだのは内緒の話。
昔の道具屋さんというか、工務店のような趣の”民宿ランプ”
親切なスタッフの方が「手袋なしだと凍傷になるよ」
と仕事部屋のストーブにあたらせてくれた。
宿代とお勧めのパンがあるとの事なのでパンを予約して先に会計を済ませる。
その額なんと2,000円。
ネットカフェのパック料金が2500円の時代。
暖房費の概念がある北海道に於いて破格も破格である。
夕食は地場のものをと思案しているとお勧めのお店を教えてくれた。
ぐるなびの写真には「ラーメン専門店」と書いてあるのに地元の方も集う
有名な海鮮居酒屋との事。
宿を出発する際ご主人が
「凍傷になるから、これ持って行くんだ」
差し出されたのは畑仕事を終えたばかりのようなまっ茶色の軍手だった。
気持ちはありがたいが、少しいいコートを着ていたので
「私結構暑がりなんで大丈夫です!!」
とゆるーくお断りすると
「網走なめちゃいかん、凍傷になるよりましじゃ、持って行かれ」
親切なことは確かだが、こんなにエキセントリックな宿は初めてである。
しかし彼らからするとスーツにロングコート、革靴でライダーハウスのような宿に
泊まりに来る僕の方がよっぽどエキセントリックなのだろう。
20:00
すすめられたエキセントリックな「ラーメン専門店」”いしざわ”に到着し熱燗を注文した。
例の軍手を外そうとするが、手が硬直して脱げない。
結局メニューを見るふりをしながら手が温まるのを待った。
ようやく動くようになった手で酌をして熱燗を頂きながらメニューを見る。
しかし、うにもいくらも蟹もない。
「あの、すいません地場のものを食べたいんですがうにとかいくらって…」
と尋ねると店主は
「流氷が接岸しとるのにそんなもん今は海におらんよ。ホッケでも食べていき。蟹も冷凍でよかったら料理してあげる。まぁまぁうまいよ。」
どこまでエキセントリックな街なんだと思いつつ、ここまでの会話を思い返してみた
宿までショートカットして7分=迷いやすい→迎えに来てくれる
待合の奥→暖房が近い場所
パンのおすすめ→近隣に店という店がない
ドロドロの軍手→気温-18℃。本当に凍傷になる
地場の料理→地場で取れないものは出してはならない。
この人たち、実に真っ当であった。
お銚子を何本かおかわりして、真ホッケの焼き物と
とても上手に焼き上げた”冷凍の”蟹。
地元の方と店主の他愛もない会話。
その飾らない、人間らしい暖かな空気にいつのまにか引き込まれていた。
そろそろ帰ろうと、お会計をお願いしたら
1900円。
「え、安くないっすか??」と尋ねると焦って計算しなおす女将。
でも結局1900円だったようだ。少し表情が悔しそうなのが素敵だった。
宿に戻って自室へ入る
ブラウン管のテレビ、ちゃぶ台、黒電話に畳。
朝札幌を出発してからここに来るまで、タイムマシンでも乗ったかのような
不思議な感覚にとらわれた。
美しい景色、めったに見ることのできない動物、流氷、不思議な宿に不思議なラーメン専門店。
祖母の家のような部屋でぼーっとテレビを見ている僕。
気が付けば旅をして、たくさんのものや出逢った人に豊かにされてるなぁ、、
と悦に浸っていた時は既に夢の中だった。
Mon,January 26,9:00
支度を終え、軍手のお礼とあいさつを済ませ”民宿ランプ”を後にした。
札幌行の特急”オホーツク4号”は既にホームに入っていた。
札幌を経由して新千歳空港へ。
もう少しゆっくりしたかったなと思いながら”サッポロクラッシック片手に
遠軽で注文してあったかにめしを頬張り、旅を締めくくった。
次来るときは雲丹やイクラをねだりたいなぁ、なんて考えながら
ボンボヤージュ。
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Places visited : Haneda Airport-New Chitose Airport,
Sapporo City,Sapporo Station,via Kushiro Station,Abashiri Station
Abashiri City
Fly
NH59 TYO(HND)10:00 →CTS11:35 on B777-200
NH72 CTS17:00→TYO(HND)18:40 on B777-200
LUNCH
@Sapporo
Matsuo Jingisukan Sapporo Ekimae, Sapporo - Restaurant Reviews, Phone Number & Photos - TripAdvisor
Japanese Lumb and vegetable dish 1,280JPN
@"駅弁Ekiben" On the train(box lunch sold at a Engaru station.)Club and Rice 1,000JPN
Century Royal Hotel (Sapporo, Japan) - Hotel Reviews - TripAdvisor
Minshuku Lamp in Abashiri, Japan - Lonely Planet
”民宿 ランプ” Staying overnight without meal 2,000JPN
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